デンマークの税金と生活のはなし。

 

インターン先のayaさんから聞いた話やIPC元教師のユハンというおじいちゃんの授業から、デンマークでの税金の歴史や生活のはなしについてのあれこれです。

 

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Schmidt Hammer Lassenの建築でBlack Diamondの愛称で有名な王立図書館。水曜午後1時だったけど晴れると即座に日向ぼっこに繰り出すデンマーク人で外の席が埋まる。

 

25%の消費税、人によっては稼ぎの60%位程になる所得税など、たか~い税金で知られるデンマークですが、急に思いつきでそんなに高くなった訳でもなく。

歴史のなかで長い間をかけて徐々に高い税を払うことに慣れて来たそう。

 

ざっくりと歴史を三段階に分けると、

①1908~ : 教会が村を治める制度

キリスト教国(デンマークは約7割がプロテスタント)として、教会が農家の面倒を見なくちゃいけなかった。ここで裕福な人からお金を集めて貧しい人に再配分するという基礎システムができた。

1962 : Bismarkからの影響

市民革命を恐れていたので、市民生活もちゃんと面倒見てますぜと社会保険制度を作ったビスマルクデンマークはこの体制を真似ており、社会的な法律でドイツとの共通点が多いのはこのせいらしい。高い年金の構想もこの頃から芽生える(まだ実用はされておらず、その後法律ができたのは30年後の1891年)。

③1989~ : 社会民主主義の構想

1989から社会民主党が力を持ち始め、 選挙のたびに社会政党によって今の福祉の原型が少しずつ形作られて来た。この頃から、政党が途中で福祉政策止めると言いだしたら選ばれないという流れができる。

と、ざっとこんな流れらしい。

ちなみに1980年から失業率が上がり、福祉の恩恵を受けたかったら勉強か仕事しなきゃという仕組みも作って市民を活発化させる仕組みなども設けたらしい。

 

 

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証券取引所(Børsen) 前で写真を撮ってたら突然ポーズを決めてきた通行人のおにいさん。いい笑顔なので勝手に使いますよおにいさん。

 

現在国民の77.9%がこの福祉制度をキープしたいと考えているそう。だけど在日大使館の雑誌のArhus(ユトランド半島にあるデンマーク第二の都市)特集では結構「幸せだけど税金たけ~」ともらしている市民の人もいた。Taxes burden(税金の重荷)と呼ぶ人もいるらしい。

消費税では砂糖税や酒税(北欧の中では最安)、脂肪税などがあって、スーパーのミルク売り場では脂肪率が違うものが三段階ほど並んでいる。砂糖を沢山使ってるお菓子や脂肪率の高いミルクは割高になる為、節約すると少し健康になれる。

所得税は収入によるが45~60%程払う必要があり、大学の教授が「稼ぎの半分以上持ってかれるのよね~」と言ってる時の目が笑ってなかった。。

 

でも高い税金を収める代わりに福祉保障はとてつもなくしっかりしていて、

①病気

  • 病気になってもイエローカードに登録されてるホームドクター(地域のお医者さん)のところでの診察は無料。*処方箋出してもらったりすると薬代はかかる。

②失業保険

  • 失業しても次の職が見つかるまで期間限定で前の給料の90%は保障される。
  • 転職、キャリアアップを国が助けてくれる。転職期間中は月10万円位の失業手当がもらえ、必要なスキルを学ぶ為の講座を無料で受講できる制度もある。
  • そんなこんなで人の流れがとても活発。企業側も気軽に人を雇ったり、期間限定の働き方が一般的。
  • 高齢化で年金受給年齢が上がっちゃう問題は日本と同じらしい。 

③教育 

  • 子供たちは大学まで無料で教育を受けることができる。
  • 0~18歳 Children checkと呼ばれる補助金
  • 19歳~ 奨学金のようなものが月々貰える。(この制度もある為企業などのインターンシップでは給与なしが当たり前。というか払っちゃダメという決まりがあるらしい。)
  • 大学は私立なし、ランクも入試も無く高校時代の成績で決められる。
  • 学びたい意欲さえあれば留学などは国のお金でいける。(いいなぁぁ)

などなど。人生における大体の不安をカバー!

ayaさんが「家族の誰かが人生のどこかで福祉制度の恩恵を受けているから、高い税金も納得して払っている。長期的な安心と政府への信頼の上で成り立ってるんだよ。」と言っていたのが印象的だった。

政治関心も政府への信頼も高くない日本では、自分の身は自分で守る。その為に若いうちから自分のキャリアプランや人生設計に余念がなくて、何だか常に不安。そんな空気が漂ってる気がする。

もちろん日本がデンマークになることはできないし、別々の国の仕組みと生き方があるけれど、常にリラックスして笑顔で暮らしているデンマークの人たちの生き方はやっぱりいいなと思う。

そしてそんな生き方も、長い歴史の中で築いてきた努力あってこそなんだなと思ったのでした。

 

 

 

ではまた!次回は大学でのプロジェクトなどについて書きます。